ツナが缶から飛び出して

旅人ワーカーである私が、日々考えること、旅記事なんかをとりあえずさまざまに書いてみます。

20歳のミャンマーの追憶

20歳の夏、私は一人でミャンマーに旅立った。

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バガンで出会ったコウキと、同じ夜行バスでヤンゴンに到着した。バスを降ろされる混乱の中、私たちは、街の中心部にある市場の前でまた会う約束をした。

それから歩いて向かった宿のロビーで少し休憩した。荷物を整理していると、約束の時間が近づいてきたので、あわてて宿を出た。お金も減ってきたから歩いて待ち合わせ場所に向かった。

 

市場に着いたが、コウキはまだ来ていない。場所が分かりにくいかもしれないなと思いながらも、キョロキョロ周りを見ながら待つ。

もう一時間は経ったが来ない。うろうろしていると何が欲しいの?ってたくさんの人に声かけられる。

私は人を待っているの。

wi-fiに繋げるために隣のモダンなショッピングモールに何度も行くが、いっこうにメッセージに返信はない。

どうしようか。もう諦めて場所を移動しようか。特に行くあてもないけれど。でも、何かあったのかもしれないと考えると心配で、そこを離れる気にはならなかった。

二時間が経過したころ、最後の確認をしにショッピングモールに足を運んだが、結局返信はなかった。

ようやく頭を切り替えて、どこに行こうかと考えていると、目の前に小さな女の子が現れた。10歳に満たないだろうか。私を見上げて笑っている。そして彼女が後ろを向くと同時に、私の視線も動く。

 

そこにいたのはコウキだった。

私がびっくりして言葉を発せないでいる隙に、女の子は「ほらね!ここにいると思ったんだよー!!」と流暢な日本語で、自慢気な顔を私とコウキに向けている。どうやらコウキが私を探していることを伝えると、日本人がここら辺をうろうろしているのを思い出して、連れてきてくれたらしい。「ピンと来たのよ!」と自分の店で売っている扇をもって、何度も繰り返す。

私はこの少女を見かけた記憶はなかったのだが、こんな奇跡があるものかと感動しきりで何も聞けずにその場をやり過ごしてしまった。

そのあとは彼女にしばらく私たちのガイドをしてもらった。日本語を話せるミャンマー人の小さい女の子が、日本人二人を率いている姿は、とても不思議だったに違いない。

 

これが、私が旅の中で一番驚いた経験である。